2023年5月18日木曜日

ストリートから保護された子どもたちが暮らす施設

 みなさん、こんにちは!牧研の横山です。

エボラウイルス感染症のため、首都退避になっておりましたが、無事に任地へと戻ることができ、活動を再開いたしました。

今回も前回に引き続いて、首都退避している間に、私が関わらせていただいた施設について紹介したいと思います。

以前から一度訪れてみたかった、ストリートから保護されてきた子どもたちが暮らす施設Masulita Children’s Villageを見学し、週に1度その施設を訪れ、そこで活動されている隊員のお手伝いをしていました。

この施設は、UWESOUganda Women’s Effort to Save Orphans)というNGO団体が運営しており、0歳から18歳のおよそ280人の子どもたちが暮らしています。彼女/彼らは、カラモジャという地域の出身です。カラモジャはウガンダの北部の地域で、貧困地域といわれています。彼女/彼らのほとんどは教育経験がなく、英語も話すことができません。彼女/彼らは、首都カンパラで物乞いをしているところを緊急保護され施設に突然連れてこられました。そのため彼女/彼らは、なぜこの施設に保護されたのか理解できておらず、家族に会いたい、ふるさとに帰りたいと施設から逃走を図る子どもたちもいます。隠れて携帯を使って親に電子マネーを送金したり、ポリッジ(いつも朝食に飲む、とうもろこしの粉をお湯で溶かしたもの)を顔に塗ってストライキしたりすることもあります。

ポリッジを飲んでいるところ

初めてこの施設の子どもたちと触れ合ったとき、子どもたちがとても人なつっこく、私の名前を必死で覚えようとしてくれました。その時私は何もできていないと感じる日々だったので、自分を必要としてくれてるんだと思い、とても温かい気持ちになりました。それから、彼女/彼らのこの施設に対する帰属意識を高めることを目的の1つとした、全隊員参加のイベントがこの施設で開かれることになり、その準備として週に1度施設を訪れました。子どもたちは手遊びが好きでよく一緒に手遊びをしたり、身体を動かしたりしていました。この施設で暮らす子どもたちのうち多くの女の子が下着を持っていなかったため、手作りできる下着のサンプルを作ってもっていきました。

子どもたちが遊んでいるところ     子どもたちと遊んでいるところ

子どもたちは一見笑顔にみえても、その裏に複雑な心情を抱えています。今回のイベントを通して、たくさんの隊員の方々と触れ合って、いつも以上のきらきらな笑顔を見せてくれました。子どもたちにとって、このイベントが心に残る思い出となり、少しでもこの施設にいる意味や誰かに必要とされ、大事に思ってもらえるという喜びを感じられたイベントになっていたらいいなと思います。

イベントの様子

2023年5月8日月曜日

隊員同士の学び合いの場~健康と平和~

Gyebaleko!(皆さんお疲れ様です!)

清水研究室の小田です。

2023年4月20日は「青年海外協力隊の日」です。

その日に併せて、小田の配属先のチタラ小学校にて、ウガンダの教育関係JICA海外協力隊員のグループ「教育分科会」でイベントを開きました。

4月6日「開発と平和のためのスポーツの国際デー」、4月7日「世界保健デー WHO」であることに因んで、今回のイベントのテーマを「健康と平和」にしました。

このイベントでは、主に3つのことを行いました。
体育の授業、アートの授業、HIV・AIDSの授業

①体育の授業
現地教員による体育の授業、小田による体育の授業2つを行ったのち、講評会をしました。

【現地教員による授業】
歌に合わせて、運動する姿が印象的でした。

歌いながらストレッチする様子

メインの活動では、「ボトルフィリング」という、手で水を運んでチームで協力してペットボトルに水を満タンにする、という活動を行いました。

 

ボトルフィリングの様子

子どもたちも楽しんでいましたが、なにより先生たちが楽しんでいて、いい授業でした。

歌いながら教室に帰る様子

そして現地教員による体育の授業後は、自然と授業に関する話し合いが始まりました。

話し合いの様子
この姿を見たとき、隊員、現地教員全員の良い学び合いの場になっていると実感しました。

【小田による授業】
トラックリレーの「バトンパス」の授業をしました。


他隊員からもよく言われているのは、
・大人でも走りながらバトンパスできない
・バトンパスの質が低い
ということです。そこで今回バトンパスをテーマに授業しました。

バトンパスの様子

授業の最後には何人か、上手にバトンパスしている子がいました。
もう一度授業すると、さらに上達するだろうとワクワクしました。

実際にリレーをする様子

他の隊員に授業を見ていただける機会は限られているので、現地教員、小田が成長できるとても貴重な機会になりました。他隊員からは「スムーズに列が作れている」というコメントが多く、驚かれていました。一年頑張ってきた成果が出ているのかなと嬉しくなりました。同時に、目標をしっかり立てることが大事だと改めて実感できました。

 

集合写真

②アートの授業
小学5年生とJICAボランティアが共同で1本の木を作成しました。

アートの木を作成する様子


事前に習字の練習を行いましたが、とても苦労しました。
無事に作品が完成して良かったです!

習字の様子

完成写真

全員が協力したおかげで、木が花と葉っぱで満開になりました!


③HIV、AIDSの授業
最高学年の小学7年生に向けて、保健隊員2名が出張授業してくだいました。
子どもたちは専門家から授業を受けたことで、さらにHIV・AIDSの知識を深めることができました。

HIV・AIDSの講義の様子

子どもたちは、グループワークを通してさらに学びを深めていました。

グループワークの成果を発表する様子


今回の教育分科会は、私にとって心に残る日になりました。
同じザンプロの横山さんもチタラ小学校に来て、サポートしてくださいました。
私一人では成し遂げられなかったです。
教育分科会のメンバー、チタラ小学校の先生方、子どもたちに感謝してもしきれません。
本当にありがとうございました。
今回学んだことを生かしてあと数か月、ウガンダでの活動頑張ります!



2023年4月10日月曜日

JICA・広島大学連携「ザンビア特別教育プログラム」東京説明会 参加者募集

  「ザンビア特別教育プログラム」の説明会を東京で開催します。

対面のみのアットホームな説明会&個別相談会です。
教育のこと、国際協力のこと、将来の様々な選択ができるように、先輩方からいろんなヒントがもらえます。将来を決める前に、可能性広げましょう!

開催日時:2023年6月3日(土)14:00-16:00 ※途中退席可能

開催場所:広島大学東京オフィス
    
JR新橋駅徒歩5分・都営三田線内幸町駅徒歩1分)詳細こちら

当日内容:14:00 ご挨拶と自己紹介     
     14:15 大学院:国際教育開発プログラムのご紹介
     14:25 ザンビア特別教育プログラムのご紹介
     14:35 修了生3名との座談会(協力隊体験談あり)
               15:30 個別相談   (16:00終了)

定員  :先着12名(少しであれば席は増やせます)

参加方法:事前に下記の申込フォームからお申し込みください

申込締切:2023年5月28日(日)まで(定員を超えましたら、締切日を
     早めに書き換えます。ご注意ください。) 

参加費 :無料

     参加申し込みフォーム

お問合せ:参加以外の問い合わせの場合も、上記「参加申込み」からご連絡ください。質問欄(自由記載)がありますので、申込ではない旨とお問合せ内容をご記載ください。

学生だけでなく、社会人、学校の先生、誰でも気軽にご参加ください。国際協力を目指す方、教員として海外ボランティアを目指す方、そんな道も知ってみたいと思う方、あなたの疑問を解決します。自分はどんな道が良いのだろう、どんな方法があるのだろう、一緒に考えてみませんか。

ザンビア特別教育プログラムは、JICA協力隊と大学院での修士号取得の両方を目指す方に、JICA協力隊としてザンビアに理数科教員(小学校教諭含む)として活動しながら、現地調査・研究を同時に行い、最短で3年半で修了する(派遣前、帰国後に大学院で研究)プログラムです。 詳細はこちら

※協力隊の応募時期により、派遣時期が遅れる場合は、3年半で修了できなことがありますので、事前にスケジュールを確認ください。

JICA・広島大学連携「ザンビア特別教育プログラム」説明会と現地派遣学生とのオンライントーク ~JICA海外協力隊活動を組み入れた修士課程のプログラムに参加して~

 「ザンビア特別教育プログラム」のご紹介と派遣学生とのオンライントーク


「ザンビア特別教育プログラム説明会」を広島大学留学WEEKイベントにて行います。

学内は対面開催ですが、オンラインもつなぎますので、他大学の方、社会人の方などで当プログラムに関心がある方も参加いただけます。


開催日時:2023年5月15日(月)17:10-17:55

開催場所:広島大学ミライクリエ/オンライン

当日内容:ザンビア特別教育プログラムのご紹介

     派遣中の学生とのオンライン対談(インタビュー)

     質疑応答

参加方法:事前登録の上、オンライン(PC,スマホなど)で参加

     下記の申込ボタンからお申し込みください。
     前日までに参加URLをお送りします。
     対面の方は申し込みなしで参加いただいても大丈夫です。
     ただし、学外から車で来られる方は事前にご連絡ください。

申込締切:2023年5月14日(日)まで 

     参加申し込みフォーム

お問合せ:参加以外の問い合わせの場合も、上記「参加申込み」からご連絡ください。質問欄(自由記載)がありますので、申込ではない旨とお問合せ内容をご記載ください。


ザンビア特別教育プログラムは、JICA協力隊と大学院での修士号取得の両方を目指す方に、JICA協力隊としてザンビアに理数科教員(小学校教諭含む)として活動しながら、現地調査・研究を同時に行い、最短で3年半で修了する(派遣前、帰国後に大学院で研究)プログラムです。 詳細はこちら

東京での対面説明会&個別相談会は6月3日(土)に行います。
詳細は近日中にこちらにてお知らせしますので、少しお待ちください。


※協力隊の応募時期により、派遣時期が遅れる場合は、3年半で修了できなことがありますので、事前にスケジュールを確認ください。


2023年4月4日火曜日

ザンビアプログラムでのご入学を検討されている方へ

 ザンビア特別教育プログラムは、広島大学人間社会科学研究科国際教育開発プログラムの特別プログラムです。

入学・入試の機会は2回あります。

入試:8月、2月(出願は約1か月前に締切)
入学:4月(8月・2月入試)、10月(8月入試で10月入学)

ザンビア特別教育プログラムを希望の方は、別途協力隊に応募が必要となります。
入学前に協力隊合格をしていても問題ありませんが、派遣時期は、入学後一定の期間後になる必要があります。

2023年度春募集協力隊に応募の方で、ザンビア特別教育プログラムを希望している方は、応募前にご相談ください。希望隊時に問題がないかアドバイス可能です。


また、「ザンビア特別教育プログラム」とはどんなものだろう、大学院での研究や、現地での教員活動など知りたい!と思う方は、是非、説明会にご参加ください。

今後の説明会の予定をご案内します。

2023年5月15日(月)17:10-17:55 広島大学で対面説明会
                  (オンラインでも参加可能です)
                 ※派遣中の学生がオンライン参加予定

2023年6月3日(土)14:00-16:00予定 東京にて説明会&個別相談会
                   (対面のみ)
                 ※修了生に個別相談など可能です

詳しくは後日プログラムなどご案内します。
急ぎ詳細を知りたい方などはお問い合わせください。

お問い合わせ(クリックください)

                    

2023年2月13日月曜日

(ザンビア派遣後半年の)活動を振り返って

みなさんこんにちは、清水研の小野です。ザンビアは只今雨季真只中で、雨の降る日が多く、また朝は少し肌寒いです。

もうすぐザンビアへ赴任して、半年が経ちます。
そこで今回は、半年の活動を振り返る形で私の活動の紹介をさせていただきます。

今回のテーマは大きく2つです。
温かくお付き合いいただけると幸いです。

<今日のテーマ>

・半年を通して感じたこと。
・ 活動の紹介

初めに、半年を振り返ると仕事をするということの意味を知った半年だったと感じています。
海外で仕事をするのはもちろん初めてですが、そもそも社会に出て、仕事をするといいことが初めての経験です。素直に表現すると仕事は大変だと言う感想です。
子どもの前に立つとやはり授業や子どもの成績などに対する責任感を抱きます。
特に、化学の実験では様々な薬品や金属などの活用、加熱実験等も多く扱うので観察・実験では子どもたちの行動に神経をすり減らすことも多々あります。
でも同時に楽しさも実感しています。私自身理科が大好きな教科であるのはもちろんですが、子どもたちのなるほどと納得した声や実験中の真剣な表情や楽しそうな表情を見ていると私自身わくわくしますし、授業作りのモチベーションになっています。
明日は授業で何をしようか考えることが毎日楽しいです。


〈授業の様子〉


私の活動は以前紹介させていただいた通り、主に高校化学を担当しています。
専門科目であるため知識の教授と活動のバランスが難しく日々試行錯誤しています。
また、私の学校では実験器具や扱える薬品の数は揃っている方ではあると思いますが、やはり日本のようにはいかず数や種類に限りがあります。
そのため授業実験計画でも日々試行錯誤しながらの準備となっております。
今回はその活動の一つを紹介します。
酸・塩基のPHを学ぶ授業で子どもたちと試験紙を作成する授業を行いました。

私の学校ではPH試験紙やリトマス紙が無く、水溶液の性質について試験紙を用いた実験を行うことが難しい現状がありました。
そこで、リトマス紙を簡易的に子どもたちと作成し身の回りの水溶液の性質を調べる活動を行いました。
今回はブドウの皮を煮て、色素を抽出し、それを濾紙に浸して作成しました。この自作リトマス紙での変化は酸性と塩基性それぞれの物質に対して異なる色へ変化するためはっきりと酸性か塩基性かを識別することができました。
抽出液の方が反応後の色合いが綺麗だったので余った抽出液を指示薬として子どもたちと身の回りの液体についての性質を調べていきました。
日頃化学の授業で名前の上がる酸性の液体や塩基性の液体は危険なものが多く、私たちの口に運ばれているものの中にも、それら溶液と同じ性質を持つものを見つけ子どもたちはとても驚いたり、喜んだり。
それを見るとつい理科の実験の醍醐味だなと感じてしまいました。

〈ぶどうの抽出液と溶液の反応の様子〉

しかし、理科の実験の際、闇雲に代替のものを用意する事に疑問を抱き始めている自分もいます。
自然科学の原理現象を理解するために代用する事は十分意味がありますが、実験器具の扱いが国家試験で問われるザンビアにおいて、器具がないからと言って他の道具で代用してしまったり、実験そのものを他の実験で代用してしまったりする事で実験器具の扱い方について定着しづらくなってしまうのではないかと不安になることも。

扱い方を言葉で表現するのは、教科書の記述を覚えてしまえば簡単かもしれませんが、一連の実験の中で実際に操作するとなると経験があるかないかでは大きな差が生じると思います。

今回の実験に置き換えても問われるものは、ぶどうの抽出液による識別では無く、PH試験紙、リトマス紙の扱い方やその識別方法です。
代用すること一つとっても、現地の文脈や教育の実態を十分に考慮し、子ども達の視点や知識の広がりがきちんと活動の狙いに着地するよう考え続けなければいけないなと実感した半年となりました。
しかし、理科の醍醐味は自分達の体や五感を使って事象を理解できるところだと思っています。
観察実験を行うことで理科の事象をよりイメージしやすくなり、理解しやすくなると思います。
また、観察実験を取り入れることで、教師主導になりがちな教授中心の授業と比べ、子どもたちの興味関心を刺激しやすく、子どもたちの主体性も引き出せると考えています。
授業作りの際に思い浮かぶアイディアの数だけ同時に「これで良いものか」と疑問を抱く事はありますが、「教える」ことの難しさを噛み締め、子ども達のために自分自身が成長し、誠意いっぱい考えて活動に取り組んでいきたいです。


2023年1月30日月曜日

ザンプロが国際開発ジャーナル2023年1月号に掲載されました

 国際開発ジャーナル2023年1月号に、ザンビア特別教育プログラムが掲載されました

大学として初めて国際協力機構(JICA)と連携し、20年以上続く本プログラムを紹介いただいています。

体験者の声として、2009-2011年にザンビア特別教育プログラムでザンビアに派遣された高阪将人さん(現:福井大学准教授)の記事が紹介されています。

是非機会がありましたら、ご一読くださいませ。