2023年2月13日月曜日

(ザンビア派遣後半年の)活動を振り返って

みなさんこんにちは、清水研の小野です。ザンビアは只今雨季真只中で、雨の降る日が多く、また朝は少し肌寒いです。

もうすぐザンビアへ赴任して、半年が経ちます。
そこで今回は、半年の活動を振り返る形で私の活動の紹介をさせていただきます。

今回のテーマは大きく2つです。
温かくお付き合いいただけると幸いです。

<今日のテーマ>

・半年を通して感じたこと。
・ 活動の紹介

初めに、半年を振り返ると仕事をするということの意味を知った半年だったと感じています。
海外で仕事をするのはもちろん初めてですが、そもそも社会に出て、仕事をするといいことが初めての経験です。素直に表現すると仕事は大変だと言う感想です。
子どもの前に立つとやはり授業や子どもの成績などに対する責任感を抱きます。
特に、化学の実験では様々な薬品や金属などの活用、加熱実験等も多く扱うので観察・実験では子どもたちの行動に神経をすり減らすことも多々あります。
でも同時に楽しさも実感しています。私自身理科が大好きな教科であるのはもちろんですが、子どもたちのなるほどと納得した声や実験中の真剣な表情や楽しそうな表情を見ていると私自身わくわくしますし、授業作りのモチベーションになっています。
明日は授業で何をしようか考えることが毎日楽しいです。


〈授業の様子〉


私の活動は以前紹介させていただいた通り、主に高校化学を担当しています。
専門科目であるため知識の教授と活動のバランスが難しく日々試行錯誤しています。
また、私の学校では実験器具や扱える薬品の数は揃っている方ではあると思いますが、やはり日本のようにはいかず数や種類に限りがあります。
そのため授業実験計画でも日々試行錯誤しながらの準備となっております。
今回はその活動の一つを紹介します。
酸・塩基のPHを学ぶ授業で子どもたちと試験紙を作成する授業を行いました。

私の学校ではPH試験紙やリトマス紙が無く、水溶液の性質について試験紙を用いた実験を行うことが難しい現状がありました。
そこで、リトマス紙を簡易的に子どもたちと作成し身の回りの水溶液の性質を調べる活動を行いました。
今回はブドウの皮を煮て、色素を抽出し、それを濾紙に浸して作成しました。この自作リトマス紙での変化は酸性と塩基性それぞれの物質に対して異なる色へ変化するためはっきりと酸性か塩基性かを識別することができました。
抽出液の方が反応後の色合いが綺麗だったので余った抽出液を指示薬として子どもたちと身の回りの液体についての性質を調べていきました。
日頃化学の授業で名前の上がる酸性の液体や塩基性の液体は危険なものが多く、私たちの口に運ばれているものの中にも、それら溶液と同じ性質を持つものを見つけ子どもたちはとても驚いたり、喜んだり。
それを見るとつい理科の実験の醍醐味だなと感じてしまいました。

〈ぶどうの抽出液と溶液の反応の様子〉

しかし、理科の実験の際、闇雲に代替のものを用意する事に疑問を抱き始めている自分もいます。
自然科学の原理現象を理解するために代用する事は十分意味がありますが、実験器具の扱いが国家試験で問われるザンビアにおいて、器具がないからと言って他の道具で代用してしまったり、実験そのものを他の実験で代用してしまったりする事で実験器具の扱い方について定着しづらくなってしまうのではないかと不安になることも。

扱い方を言葉で表現するのは、教科書の記述を覚えてしまえば簡単かもしれませんが、一連の実験の中で実際に操作するとなると経験があるかないかでは大きな差が生じると思います。

今回の実験に置き換えても問われるものは、ぶどうの抽出液による識別では無く、PH試験紙、リトマス紙の扱い方やその識別方法です。
代用すること一つとっても、現地の文脈や教育の実態を十分に考慮し、子ども達の視点や知識の広がりがきちんと活動の狙いに着地するよう考え続けなければいけないなと実感した半年となりました。
しかし、理科の醍醐味は自分達の体や五感を使って事象を理解できるところだと思っています。
観察実験を行うことで理科の事象をよりイメージしやすくなり、理解しやすくなると思います。
また、観察実験を取り入れることで、教師主導になりがちな教授中心の授業と比べ、子どもたちの興味関心を刺激しやすく、子どもたちの主体性も引き出せると考えています。
授業作りの際に思い浮かぶアイディアの数だけ同時に「これで良いものか」と疑問を抱く事はありますが、「教える」ことの難しさを噛み締め、子ども達のために自分自身が成長し、誠意いっぱい考えて活動に取り組んでいきたいです。