2013年2月16日土曜日

雨宿り


  私の任地ソルウェジは、ザンビアの中でも降水量が多く、雨季のこの時期は、毎日のように雨が降ります。日本では考えられないくらいの大きな雷に、夜中、目覚めることもあります。雨によって道路は川に表情を変え、ぬかるんでいない場所を探して歩くのに必死です。ただ、その雨も1日中降るというよりは、夕立のように短い時間に沢山降るというものです。その短い時間にあった出来事を今回お話したいと思います。

 その日も無事に学校が終わり、同僚と一緒に帰宅していました。相変わらず空は、モクモクと雨雲が近づいていました。学校を出発して10分も経たないうちに、小降りの雨が激しい雨へと変貌し、ザーっと降り始めました。私たちはこの激しい雨の中、外を歩くのは至難の業なので、どこかに雨宿りすることに。私たちがいた場所は、ザンビアの中でも貧しい人達が集まって住んでいるコンパウンドの中で、その1つのお家にお願いをして、家の中に入れてもらいました。

 
そのお家は6畳くらいの部屋が2つに仕切られており、一方は寝るための部屋、もう一方は台所として使われているようでした。電気や水は通っていなく、物もほとんどありませんでした。お母さんは快く私たちのための椅子を用意してくれ、雨が治まるまで中に居て良いよと言ってくれました。彼女は、学校へ通った経験がなく、英語を話せません。同僚が現地語で会話をし、それを通訳してくれました。

彼女は8人の子供を産みましたが、その内の2人を病気で早期に亡くし、今は1歳と3歳の子供達と一緒に家族の帰りを待っているところでした。子供たちは甘えん坊の年頃で、外国人の私にとても興味があるようでした。抱っこをして遊んでいると、子供達は栄養失調のためにお腹が膨らんでいるのが分かりました。そして、3歳にしては体が小さすぎました。最初は何気なく入ったお家ですが、段々と複雑な気持ちになってしまいました。

私の任地には鉱山の発掘所があり、お金持ちの人も住んでいます。その人たちは、スーパーで食材を大量に購入し、インフラ設備も整っている環境に住んでいます。その一方で、インフラ設備がなく、日々の生活を営むので精一杯な人たちも住んでいます。同じ場所でこんなにも違う生活をしている人たちがいることを目の当たりにし、何とも言えない気持ちになってしまったのです。

ザンビアを好きな傍ら、私自身が一生コンパウンドで生活することはできないと思う自分もおり、何のためにザンビアへ来たのか、たまによく分からなくなってしまう時があります。日本へ帰る前に何かしら、答えが見出だせれば良いなと思います。

最後に、コンパウンドに住んでいた彼女は、最後に大きな傘を私に貸してくれました。まだ新品の状態だったのに、明日返してくれれば良いからと優しい笑顔と一緒に。