2012年11月6日火曜日

デモ

みなさま、こんにちは。

先日はザンビアの独立記念日でしたが、私の任地セレンジェでは全てのイベントがキャンセルになり、少しおかしな空気の流れた日でした。というのも、その一週間前にセレンジェでは殺人事件が起き、警察の捜査があまりに手ぬるいという事でコミュニティの住民が蜂起したのです。その週は町では催涙弾を装備した警察とデモを起こしている住民とが争っており、たまたまそこに居合わせた同僚教員は催涙弾の影響で止まらない涙をハンカチで押さえながら、学校へ帰ってきました。就業時間に町で何をしていたのかは知る由もありませんが、どうやら本当に催涙弾が発射されたようです。それを受け、警察は独立記念日に合わせて住民たちがもう一度デモを起こすのではないかと懸念し、セレンジェで行われるはずのイベントを全てキャンセルにさせたのでした。その後日全ておさまった頃に私は同僚たちと一緒に町の様子を同僚の車で見に行きました。すると、町は静まり返っていました。何かに気付き驚いている同僚の目がさすその先を見て見ると、驚く事にいつも利用している店の窓ガラスは全て割れ、中の品物が全てなくなっていました。中で座っていた店主に話を聞いてみると、デモに参加した住民たちが興奮して投石し、全て奪っていったそうです。その店主があまりにかわいそうで、私たちはかける言葉が見つからず、肩を落として家路につきました。

 
そのデモには私の学校の生徒や友人も参加していたそうですが、話を聞くと彼らが警察に対してどれだけの墳怒を抱いているのか痛いほどにわかりました。しかし、だからと言って、石を投げたり、物を盗んだりするのでは自分たちが警察に伝えたかった本来の主張は伝わりません。適切な方法で出来るだけ冷静に丁寧に主張をしなければ、その主張は相手には絶対に届きません。

とは言っても、同じような思いを抱いた仲間たちと行進をしている中で、興奮が絶頂になり、破壊衝動に捉われてしまう、そんな気持ちもわかりそうな気もします。でも、本当はわかっていないのかもしれません。もし、それがわかったとしてもその行為は許してはいけないのかもしれません。

デモなんて、よそのどこかの国で起きている自分とは直接関係のない危険な事というような認識をしていました。もちろん、そういった報道に心を揺さぶられたり、もっと知りたいと思ったりすることはありましたが、それはどこか他人事でよそよそしいものだったように今となっては思います。しかし、それが目の前で起き、実際に自分の生徒や友人がそのデモに参加し町を破壊している。また、同僚が催涙弾の影響を受け、別の友人はデモのせいで悲しみ傷ついている。非常に混乱している状況の中で、私はこのデモ自体やそれに関わる人たちをどう捉えていけばいいのか正直よくわかりません。いつか両者が和解への道を共に歩み、平和ないつもの町に戻るように願いながら、じっくり私自身は何が出来るのか考え、出来る範囲で危険のない範囲で行動していきたいと思っています。